辻耕



左:「育夫像」清水登之  
合板、油彩  1945公益財団法人 大川美術館蔵

右:「対画ー清水登之・育夫像」辻耕 
キャンバス、油彩  2015 


アメリカンアートシーンの画家として、また従軍画家としても知られる清水登之。1945年の暮れに急逝した彼は、その年の6月に息子・育夫の戦死の報を受け、育夫の肖像を描き続けました。大川美術館に遺作として収蔵されている作品(青い背景の育夫像)登之の「育夫像」は、2003年の「さまよえる戦争画」(NHKハイビジョンスペシャル)や2005年の「悲劇の従軍画家」(新日曜美術館)などの番組により注目されるようになってきました。画家になる以前には軍人に憧れ、やがて戦争画を描いた登之は息子を失うことで戦争被害の「当事者」となり、失意にうちひしがれます。戦争は彼になにをもたらし、そこで描かれた絵は何を語るのでしょうか。今回の展示では、今まで展示される機会のなかった3点を加えた清水登之作「育夫像」計4点を同時に出品します。今回辻は制作を通して、息子を失った清水登之に添いながら70年という時間をとらえなおし、絵画とはなにか?を探ります



辻耕

1966年東京生まれ。

1992年東京藝術大学油画大学院修了。1993-95 年アートキャンプ白州参加。1997年中国福建省でレジデンスプログラムを企画。2000年台湾、山口市内のレジデンスおよびワークショップに参加。2002年ごろより、おもに日中戦争に参戦した元日本兵の聞き取り作業を行う。2010年、江東区の朝鮮学校で行われた『YAKINIKU Artist Action in 枝川 』に参画。『安井清兵士、捕虜、戦犯、語り部を生きる』(2012、Artist Action)共編。『Dodument YAKINIKU Artist Action in 枝川 』(2012、Artist Action)共編。2006-09 年、先端芸術表現科プロジェクト講師。




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