2015/03/13

「美しきものの伝説」宮本研 著

「美しきものの伝説」宮本研 著 1968

【二十一世紀戯曲文庫】 
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少し複雑な構造になるのですが、1968年と言う安保闘争をはじめとする活動ががある中で、新劇を起点とする文学座の為に書き下ろされた、新劇当初の新劇がたらしめる頃の演劇と政治、思想についての戯曲です。
戯曲ですし、この戯曲が書かれた背景の社会と言うのを踏まえて、また当時の演劇界の状況も踏まえて、作家が描き出した世界であると見る必要もあるし、しかしながら凄まじいリサーチも行われている事がかいま見えます。また政治的、演劇史的背景を踏まえて上演された事の意義に付いても考える必要があって、つまり作家が新劇発足を見る事の重要性が書いた当時の政治活動的にあった事を意味しているので、今読むととっても構造が複雑だし、今の時代性も踏まえなければ読む(現在上演する異義)価値もないので、それを見いだして読んで行くと、もっと複雑です。断言出来るのは、そのようなハードルを越えて読む価値がある程、素晴らしいです。思想、藝術、文化、政治、娯楽。それら一切を引き受けた若者達の青春として見る事が出来ますが、そのような事が、社会的に、また主体的にも現在可能なのかどうか、身につまされます。亀戸事件(亀戸事件はまた違った問題を孕んでいんますが)に便乗するかの様に、仕組まれていた大杉事件に見る、軍部による文化の問題をはらんでの思想弾圧を考えて、第二次世界大戦と戦後の日本文化を考える必要があると気づかせてくれます。(BARBARA DARLINg)